所長コラム
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酷暑の夏がやってこようとしています。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。くれぐれも熱中症にならないよう、温度調整や水分補給に努めるなど、体調管理には十分ご注意ください。
さて、所長に就任して3か月が経ちました。慌ただしくも毎日が新しい発見の連続で、ようやくセンターの全体像も見えてきたところです。そんな中、最近「これはすごい時代になってきたな」と深く実感する話題がありました。私自身、近年のIT技術に関しては、素人同然なのですが、当センターの鶴職員から教えてもらったAI搭載スマートグラス(スマートフォンと連動させて使用するメガネ型端末)のお話です。
メガネに話しかけると、周囲の状況を音声で教えてくれる――。少し前ならSFの世界のお話でしたが、今、それが現実になりつつあります。それが「Ray-Ban Meta Smart Glasses」です。 世界的に有名なメガネブランドのRay-Banと、Facebookで有名なMetaが共同開発したもので、一見すると普通のおしゃれなメガネですが、その中にはカメラ、スピーカー、そしてAI機能が詰め込まれています。「AIメガネ」と聞くと、なんだか遠い未来の話のように感じるかもしれません。しかし、視覚に障害のある方にとっては、非常に現実的で心強い道具になる可能性を秘めています。
たとえば、スーパーで買い物をしているときに「この商品は何だろう?」「値札はいくらだろう?」と気になったとき。あるいは外出先で「目の前に何がある?」「この建物は何だろう?」と思ったとき。それらをAIがリアルタイムで教えてくれたら、どんなに心強いでしょうか。
現在も、スマートフォンのカメラを使って文字を読んだり物を認識したりできる「Seeing AI」や「Be My Eyes」といった優れたアプリはあります。ただ、スマートフォンには「使うたびに取り出して、カメラを向けなければならない」という弱点があります。その点、メガネ型なら両手が完全に空きます。白杖を持っていても使いやすいということが、何より大きな魅力です。一方で、期待ばかりではありません。
まず気になるのは、AIの認識精度です。人混みや騒がしい場所、あるいは暗い場所で、どれだけ正確に認識し、情報を伝えてくれるのでしょうか。また、価格の面でも、まだ誰もが気軽に試せる段階とは言えません。そして何より、どれだけ技術が進歩しても、白杖や歩行訓練の代わりにはならないということです。安全を守るための基本は、やはりこれまで通り欠かせません。それでも、こうした最新技術には大きな可能性を感じます。白杖、点字、音声読み上げ装置――。これまで視覚障害者の生活を支えてきた道具の歴史に、新たに「AIグラス」が加わる日が来るかもしれません。少し前までのSFが少しずつ現実となり、5年後、10年後には、私たちの外出や生活が今とは大きく変わっているかもしれない――そんなワクワク感があります。
この後の「センターだより」のページでも具体的な紹介がありますが、現在、鶴職員が実際にこのスマートグラスを使用してモニタリングを行っています。そのため、実際の使用感を皆さまに具体的にお伝えできると思います。
この秋にはGoogleからも、優秀なAI「Gemini(ジェミニ)」を搭載したメガネが発売予定と聞いています。これらはまだ草創期の技術であり、過度な期待は禁物かもしれませんが、センターといたしましては、それぞれの優位性や発展途上である点なども検証しながら、今後も皆さまに分かりやすく情報をご紹介していきたいと考えています。